B-bizジャーナル

イノベーター湯 Vol.14 湯治ぐらし 菅野静さん

別府には別府八湯がありますが、もう一つ隠された湯があります。湧き上がるアイデアを形にした起業家が集まる、その名も「イノベーター湯」。

 

第14湯目は、湯治ぐらしの菅野 静さんです。

 

「湯治ぐらし」をはじめたきっかけは?

私はもともと大阪出身で、東京・大阪そして中国の上海などで、広告代理店やコンサルの仕事をしていました。

大都会でバリバリのキャリアウーマンとして働いている中で、私にとって温泉はリラクゼーションの1つでした。温泉に浸かることによって、日々のストレスから開放され、身体も心もリセットされる感覚がありました。そんな中、東北の温泉を巡る旅をよくしていた時に、初めて湯治の文化を知りました。湯治とは温泉が持つ効果効能を利用して病気を癒やすことで、すごく歴史のある文化であるにも関わらず、近年ではその文化自体が廃れつつあることを私はすごく憂いていました。東北では、湯治の文化が色濃く残っているところが多くあり、湯治宿などもたくさんありますが、多くの人の認識として、今では温泉が観光の一部になってしまっていて、本来の健康を保つ日常的なものという認識から遠のいてしまっているように思われます。

私が鉄輪を初めて訪れた時、湯けむりの中で民宿や湯治宿が数軒立っていて、そこに驚きやワクワク感を感じました。鉄輪で出会った方の中に、女性で経営者の方が多く、すごく女性が活躍している場所なんだという風に印象を受けました。

これまで訪れた温泉地や温泉組合では、男性が主体的に行動しているところが多かったのですが、ここ鉄輪で、女性が生き生きとして行動している光景を目にした時に、私もここに住みたいと思い、空き家として見つけたこの家を借りることにしました。

湯治に魅了されていた私は、この湯治の文化と鉄輪を世界に発信したい!と思うようになりました。そのための活動を始める段階で、私のこの想いに共感してくれる人と一緒にチームとして発信していけたらいいなと思い、7LDKという広さの空き家に、湯治×暮らしということでシェアハウスを始めよう!というのが湯治ぐらしを始めたきっかけになります。

「湯治ぐらし」のリビングの様子。湯治女子たちがここで、何気ない日常も大切にしつつ食事をしたり話したりする大事な場所

 

現在の活動内容を教えてください

シェアハウス「湯治ぐらし」の運営をしています。居住者はAPUの女子学生、通称“湯治女子“。好きな食べ物も故郷も違う人が互いのことを考えて、喜びも悲しみも分かち合える環境となっています。シェアハウスに住んでいてもいなくても、また私自身も、”湯治女子“として、みんなでご飯や温泉に一緒に行き、コロナ禍の現在もOne Teamを目標に活動の幅を広げています。”湯治女子“となるための基準はいたって簡単。「湯治の文化を世界に伝えたい」という私のコンセプトに同意してくれることです。彼女たちには、ただ単に温泉に入るだけでなく、話す・食べる・仕事など生活そのものとしての”湯治“、”湯治ぐらし“を広めてほしいと思っています。また、湯治で”あるがままの自分“を見つめ直した人が新たなチャレンジができるようにと、「スクランブルベップ」を立ち上げました。スクランブルベップは別府に行き交う「ヒト・モノ・コト」をかき混ぜて新しい価値を想像するプロジェクトです。第1回目は2020年6月に、別府大学文学部史学・文化財学科2年の円城寺健悠さんが『「鉄輪の記憶」写真展』というテーマで鉄輪の古い写真の展示を行いました。

『「鉄輪の記憶」写真展』会場で一緒に写る菅野さん(右端)、円城寺さん(左から3番目)。湯治女子や円城寺さんの友人がサポートして、スクランブルベップの名にふさわしい、多くの人が行きかう企画になった。

 

苦労したことや、やりがいは何ですか?

ゼロからイチを作っていくことが私にとって、やりがいとなっています。

この湯治ぐらしは、今まで働いていた分野とは全く違う業界だったので、始めはすごく勉強しました。シェアハウスの業界的なルールや、安全面で気をつけることなど、知識がゼロの状態からのスタートだったので、私自身、わからないことだらけでした。でも、湯治を広めたい!シェアハウスで湯治プロジェクトをやる!という目標を諦めたくなかったので、まずは始めてみようという気持ちが大きかったです。

また、私は実行に移すことが自分の最大の強みだったので、シェアハウスの本を読んだり、不動産の本を読んだりして、とにかく色々なことを勉強し、様々なことを実践しました。「苦労しつつも、楽しみながら、工夫しながらポジティブに実現可能にしていくこと」が大切だと思っています。

 

 

活動をしていく中での信念はありますか?

常にポジティブに物事を考えることです。できないことに目を向けて嘆くより、できるようにするにはどうしたらいいか、どう乗り越えたらいいか、とポジティブ面を常に考えています。

また、よそ者だからこそ、鉄輪に昔から住んでいる方や私より先に活動をされている方に敬意を払うことはとても意識しています。そういった人たちの思いや経緯を知った上で活動を行うことで多くの人に理解をしていただけるプロジェクトになると思っています。

 

 

現在の取り組み・プロジェクトなどの目的を教えてください

環境省が行っている「チーム新・湯治」という情報交換のコミュニティで、私が行っている鉄輪での取り組みを発表したりしています。

新・湯治とは、現代のライフスタイルにあった温泉地での過ごし方の提案で、温泉地の新たな活性化を目指して行われている取り組みです。私は、環境省とタッグを組んで、ワーケーションを促進する実験事業なども鉄輪で行っており、このワーケーションの事業を通して、色々な人が鉄輪に訪れ鉄輪との結びつきや関係性を構築していただくことを願い、オープンイノベーションや共創プロジェクトを行いました。

また、シェアハウスの中で行っている活動のひとつとして、若者たちに、「生き方はひとつじゃない」ということを知ってもらうために、色々な大人たちをお招きしています。様々な生き方をしてきた人々のお話を聞くことで、自分自身の働き方や生き方の幅を広げるきっかけ作りになればと考えています。同じ屋根の下で暮らす中で、それぞれの考え方やライフスタイルを共有し、湯治文化を、身を持って体感してもらうことで、自分自身の成長へ繋げていって欲しいなと思います。

 

 

将来展望を教えてください

湯治を世界に誇れる日本古来のヘルスマネジメントだと言うことが大きな目標です。温泉に入ることで湯治の効果を得ることが分かってきていますが、医学的な見地に立って検証されたことはこれまでなかなかありませんでした。現在、日本健康開発財団と共同で“湯治”の効果を検証し、データ化するプロジェクトを進めています。効果を数字で表すことでマーケティングに繋げていければと思っています。また、大分県からの委託事業で「湯とひとと」という動画制作の企画も進めています。温泉をただ入浴する施設として捉えるのではなく、人と人とが交わり合う、「関係」という新たな側面で捉えているので、是非ご視聴ください。

加えて、2021年2月に湯治女子シェアハウスの2軒目をオープン(湯治ぐらし2)、2~3月には湯治男子のシェアハウスもオープンします(湯治ぐらし3)。湯治をくらしに取り入れるライフスタイルを過ごしてみたい・自分の生活を見直したい・チャレンジを恐れず自分の取り組む幅を増やしていきたいというような方、ぜひとも入居募集していますのでご興味のある方は是非、ご連絡ください‼︎

 

 

 

Address     鉄輪湯治シェアハウス「湯治ぐらし1」874-0042 大分県別府市鉄輪東802-6

     鉄輪湯治シェアハウス「湯治ぐらし2」874-0042 大分県別府市鉄輪東802-12

     鉄輪湯治シェアハウス「湯治ぐらし3」874-0840 大分県別府市火売1組(古殿401-1)

Contact   onsen.wakipedia.s@gmail.com

Facebook    https://www.facebook.com/TOJIGURASHI/

Instagram   https://instagram.com/toji.joshi/

Homepage  湯治女子 (toji-joshi.com)

 

2021年2月にオープンする「湯治ぐらし2」はこちら(入居者募集中)

 

インタビュアー:清水琴未(立命館アジア太平洋大学4年)、山田椋太郎(別府大学文学部史学・文化財学科2年)

TEL 0977-76-5205
お問い合わせフォーム
別府の観光データ
ページ先頭へ